わたしの内出血

頼むから静かにしてくれ

助かりたいだけの話

 

 

「助ける?そりゃ無理だ。君が勝手に一人で助かるだけだよ。お嬢ちゃん」

 

化物語に出てくる忍野メメの言葉だが、初めて聞いた時から胸に刺さるものがある。

 

世の中には数多くの娯楽が存在する、とりわけ私にとって映画は生活の一部で欠かせないものだろう。

しかし、映画は人の事を助けない。あくまで娯楽である。

いつだって私は映画の主人公ではないし、ましてや悲劇のヒロインでもない。(悲劇のヒロインになれたら嬉しいけどね。残念ながらこの世界のアクターは沢山存在する。)あの映画があったから人生が変わった、とかそんな体験談がある訳じゃない。選択肢は自分で選ぶものだ。

 

しかし記憶に残る名言があるように、記憶に残る映画がある。

人生の中で至極の1本を選べるほど映画を見ていないから、何も言えないのだけれど。高校生の時に父と名画座で見た「素晴らしき哉、人生!」は映画人生を語る上で外せないと考えている。

素晴らしき哉、人生!

フランク・キャプラ、1946年の監督作。

ある男が自殺を図ろうとしていた矢先、天使に助けられる。

男はそれまで誠実に生きてきた。しかし誠実であるが故、悪い奴らに騙され取り返しのつかない失敗をしてしまう。

そこで天使が「自分が存在していない世界」を見せることで、男は人生を見つめ直し、もう一度やり直す決心をするのだ。

(これに関しては「自分の葬式に出席」する気分がしてとても羨ましいのよね。)

 

なにか辛いことがあった時、人生を全うする事、かけがえのない人との繋がりを作ること。助かるきっかけを作ったのは天使だったが、自分の経験により彼は助かったのだ。

 

希望論だろうか?

1946年の、終戦後の華々しい雰囲気だけの映画か?

どうしようもない世の中だろうか?救いようもないか?

普段の私はきっとネガティブだから悲観的になる。

しかし、助かるきっかけをくれる。時にこの映画を思い出して。男のように誠実に生きなければいけないというジレンマに苦しめられながらもだが。