わたしの内出血

頼むから静かにしてくれ

ジムノペディに乱れる

 

第1番 ゆっくりと痛ましげに

第2番 ゆっくりと悲しげに

第3番 ゆっくりと厳かに 

 

板尾創路のせいでエリック・サティ=日活ロマンポルノ のイメージが定着してしまった。

下ネタばっかり考えてる。

そんな事はどうでもいい。

 

いつの間にか自分は「FUDGE」から「ar」になってしまったようだ*1

 

FUDGEの街の中で一人ぼっちになってしまった気がした、そんな1日だった。

 

 

 

髪を染める為に下北沢に行った。

今日は男と飲みにいく約束をしていて、朝バイトをしてその間を埋める為の暇つぶし。

 

クリンクル素材の黒いブラウスと

ボルドーのショートパンツ

黒いミュールを履いていた。

 

就活を通して胃が小さくなってしまって、多分5キロくらい痩せた。

露出が多いが、見苦しくないとは思う。

所謂「男向けの服装」だ。本当しょーもないね。

 

 

そんなこんなで降り立った下北沢。

私が知っている下北沢と、何もかもが違っていた。

 

広々とした駅前

見当たらない喫煙所

みんな同じ「個性派」

ダサい柄シャツ

路地裏に座る若者

チェーンの古着屋

 

 

あれほど憧れていた下北沢が陳腐に見えた。

薄ら笑いの下北系

 

初めて来たのは、中学二年生。

 

新しい物と古いものが混ざる街

個性的な若者

東口界隈の茶屋の香り

 

全てが美しかった。

 

でも、今の私はあれだけ好きだったヴィレッジヴァンガードのごちゃごちゃすら嫌悪感を抱いてしまう。

 

みんながみんな個性派を称しているマジョリティ。

個性というなの、無個性。

全部がつまらない。

全部がクソッタレだ。

 

 

男向けの服装で歩く私は間違いなく下北沢から浮いていた。

美容院では目の前に「ar」が置かれ、VIO脱毛と下着の選び方について読んだ。

 

 

好きだった古着屋はチェーン店に買収されていた。

好きだったカフェは閉店時間だった。

あの時食べた、大しておいしくない「唐揚げ屋の唐揚げ」屋さんは閉店していた。

私が、食べたいと言ったから一緒に足を運んだのだ。

 

 

その代わりに、歩いていたら美容サロンの勧誘を受けた。

渋谷ではしつこくナンパされた。

 

 

耐えられなかった。

「大人になった」自分になのか

「達観したフリをした」自分になのか

 

とにかく自分が中に浮いているようで、辛くて辛くてたまらなかった。

 

気持ちを抑える為に、路地裏の純喫茶でイチゴのロシアンティーを飲んだ。

気が安らいだ。

帰りの電車で、インスタグラムを検索すると、映えスポットとして特集されていて、絶望をした。

 

 

一体何を自信を持って好きと言えるだろうか。

少なくとも、下北沢は好きな街から嫌いな街に変わってしまった。

 

自分のことを個性派だと思ったことはないと思っていた。

しかし「個性派の人」のダサさを見て、絶望してしまったことはある意味達観だ。

 

でもそれは、とてもつまらなくて悲しいことなのではないか。

 

イキって飲んだアブサンの味も

貪り食ったホルモンも

雨の日の渋谷の雑踏も

大好きな翡翠色の服も 

 

 

いつか全部全部気持ち悪くなってしまうのだろうか。

好きなら好きでいいじゃないか、他人なんて関係ない。

 

でも私は生理的に受け付けなくなってしまった。

その代わり、平気で生足の出た服を着る。

それは、とても悲しい。

大人になるって、ある意味絶望ね。

 

 

私はいたたまれなくなって、飲む約束をしていた男のLINEをブロックした。

ぷーぷー。音信不通です、電波が届きませんので、

夕暮れの下北沢を延々と歩き続けた。

 

そんなことよりも、「ぐりとぐら」の近親相姦の話をしよう。

話がしたい。

 

 

 

*1:

本当は「GISELe」が好きだけど、アラサーではないので勘弁してくれ。