楽しい思い出はすぐに忘れちゃって、悲しい思い出ばかり覚えている。
私はハッピー野郎でもなんでもないので、すごく感傷的になってしまうし
否定的になってしまう。
「思い出の基本原則は、修正可能ということ。」
最近私は繰り返しこれを申し上げているが、本当に人の記憶というものは信用ならない。
悲しい思い出はどんどん悲しいまま、風化し再構築される。
ならば、とびきり楽しい思い出を文章に残しておくことが必要だと私は考えた。
今回私は、「パークハイアット東京」に宿泊してきたので、記録しておこうと思う。
パークハイアット東京
パークハイアット東京は、ハイアットグループの中でも最上級の5つ星ホテルにランクづけされている高級ホテル。
高校生の時に泊まった「ハイアットリージェンシーバンクーバー」や食事をしたことがある六本木の「グランドハイアット」よりもランクが上になる。
それは、西新宿にそびえる新宿パークタワーの41から51階に位置する摩天楼。
調べたらうちの大学のなんとかタワーのほぼ倍の階数がある。
つまり全ての部屋が超高層階にあるというなんとも贅沢なホテルなのだ。
建築はすぐ隣にそびえる都庁の設計もした丹下健三。
三連タワーは中でつながっているので実質一本なのだが、最上階が三つ存在することになる。
完成したのは1994年ということで外資系ホテルの中ではかなり初期のものらしい。
そんなインターナショナルな雰囲気を持つこのホテルには、映画オタクとして特別な思い入れがある。
ソフィア・コッポラの2003年の映画「ロスト・イン・トランスレーション」の舞台になっているからだ。
「ゴーストバスターおじさん」ことビル・マーレイ演じるくたびれた名俳優と、スカーレット・ヨハンソン演じる若妻の、東京でのロマンティックな出会いを描いた作品。
初めて見たのは2年前くらい。
「東京」または「新宿」が持つ雑踏のざわめきや都会の冷たさ、そして「翻訳で失われる」感情や表現に苦悩し孤独を味わう二人に、とても深く感情移入をした記憶がある。
まあこんな感じで「高級ホテル」「映画の舞台」といったステータスに憧れつつも、まさか自分が泊まることになるとは思わなかったのだ。
コロナが流行するまでは…!!
ありがとう!GOTOトラベル…!!
かねてから行きたかったフランス旅行の夢が立ち消えた今、もうこれはいくしかないと思ったのだ。
都会の異世界、近くて遠い世界へ
チェックイン
当日は気合を入れすぎて、朝から銀座で髪を切り
カラーをして、追加料金のかかるトリートメントまでぶちかましてきた。
最高のコンディションである。
もうだって本当にずっとずっと夢だったから楽しみで準備してる時からワクワクしてた。
新宿駅から徒歩15分ほどということで、歩く気満々だったのだがまさかの友人が遅刻。
やばい!タクるか!
ドケチの私がタクシーを止めた、チェックイン時間から存分に楽しみたかったのだ。
ゆらゆらタクシーに揺られること3分ほど。
でかすぎて見上げられなかったため画像は引用。
いや、タクシーで来てよかった本当に。
まず高級ホテルに宿泊するのが初めてなのがバレバレな滑り出しである。
ドアマンの人に荷物を運んでもらうにもあたふたである。
すぐに案内されて41階までの専用高速エレベーターに乗る。
ドアが開くと、そこは一番低いタワーの最上階「ピークラウンジ」が目の前に広がる
とにかく!開放感が半端ない!
きれいな写真がないんだけど、とにかくタワーの上が全てガラス張りになっていて、竹とか生えちゃってるので開放感が半端ないのだ。
ホテルマンに導かれてチェックインカウンターに向かう際も、いろいろ説明してくれる。
普段は富士山が見えるらしいが、前日はサイレントヒルレベルに霞んでいたためかなり空は霞んでた。(それも摩天楼感があってすごく素敵)
通路には、なにやらおしゃれな本が並ぶ「ライブラリスペース」。
有名なパークハイアットの名所。
このホテルは全体的にアートワークが多い。絵画とか難しそうな本とか。
チェックインは席に通されてから、少し待たされた。
コロナ対策もしなければいけないし、その分宿泊者に説明したりソーシャルディスタンスを保つのもすごく大変から、かなり忙しいと思う。
でもホテルマンの方々は本当に物腰柔らかでフレンドリーな感じ。
緊張しつつも、この頃には少しずつ「都会の異世界」に場慣れしてきていた。
パークルームデラックスツインへ
一通りの説明がおわって、まさかのサプライズがあった。
「本日はデラックスルームをご用意しています」
!!!??
これか、俗にいう、アップグレードというのは。
元々、パークルームキングという一番安い部屋で予約していたのにも関わらず、「窓がでかい部屋がいい」というわがままでツインにしてくれとメールを送っていた。
しかも、「ドコモタワーがみたい」というわがままつきだ。
安いパークルームからは新宿駅方面は見えず、代々木公園方面なのを知らなかったが故、無知のわがままだ。
そんなわたしのわがままを全て聞いてくれた、もう本当に感謝でしかない。
感無量だった。もうその気遣いで私はもう満足しきっていたよ。
部屋の扉が開くまでの時間、もう興奮が止まらなかった。
お部屋の様子がこちら
半端ないって、ドコモタワーが小さいって。
もうレベチで高い。
ドコモタワーと、都庁と、コクーンタワーと、東京タワーと、スカイツリーが全て一気に同じ部屋から見える。
正直泣きそうだった。
スカヨハが泊まった部屋じゃん。
1時間くらいずっと外を眺めていたと思う。
少しずつ変わる空の色とか、首都高をいく車の流れだとか、いろいろみてて全く飽きない。
もう興奮しすぎてあんまり写真がないんだけど笑
お部屋の中はかなりシンプルなんだけど、洗練されて無駄がない感じ。
トランクルームとお風呂とベッドルームに分かれてるんだけど、すべて引き戸でまっすぐ一直線になっている。
アメニティは全てイソップ。
綿棒からスプーンやコップまで何から何まで揃っている。
ウイスキーグラスから日本茶用、ワイングラスまで手の届くところにある。
コーヒーマシンはネスプレッソだった。
すごいや。
タオルは重量があるしっかりタイプで、バスローブが超暖かい。
もういろいろ探検してたら既に2時間近くが経過してた。
プール&スパ へ
コロナ対策で30分くらい待ったんだけど、日が落ちてから2個目のタワーの最上階45階のプールに向かった。
ここはクラブ会員か宿泊者限定の施設なんだけど、通常だと追加料金がかかるらしい。
今回は利用資格も込みのプランで予約したため、全てコミコミである。
全面的に撮影禁止だったから写真がないんだけど、本当にすごかった…
韓国ドラマのCEOがバタフライ泳いで水が滴ってそうな雰囲気よ…。
夜景を眺めながら泳いだり、ジムマシンを使ったり、最高の贅沢すぎて震えた。
髪を染めたてだったし、化粧を落としたくなかったので本格的な利用は次の日にした。
スパは噴水みたいなジャグジーが中心に、三種類のサウナが備え付けられている。
スパもすごいんだけど、更衣室がとにかく広い。
床がふかふかだし、コスメ系がすべてここもイソップで、使い放題。
湯冷ましのラウンジもあって、雑誌が読めたので一丁前にGINZAを読んでやった。
「ジランドール」でのフレンチ・ディナー
スパで少しスッキリした後はおめかしして41階の「ジランドール」へ。
今回は夕食と朝食セットのプランだったんだけど、なんと乾杯シャンパンまでサービスしていただいた。
・スモークサーモンとビーツのテリーヌ
・スズキのポワレ チョリソー風味
・鴨肉のロースト
・チョコレートケーキとほうじ茶アイス
・パン(食べ放題)
お母さん、私外側からナイフとフォーク使えたよ。
細くて小さいバゲットみたいなやつ3回くらいお代わりした。
「お腹いっぱいになられましたか?」ってコネクトされたけど、そりゃそうだ。
多分バゲット一本分くらいは食べた恥ずかしい。
ジランドールからももちろん夜景が見れる。
夜景の見えない席は開放されていなかったから、ホテルの稼働率もそこそこなのかもしれない。
「ニューヨークバー」
「ロスト・イン・トランスレーション」の中で二人が出会うのは、タワーの最上階の「ニューヨークバー」で。
マーレイが孤独の晩酌をしているなか、ヨハンソンと目が合うシーンだ。
大人の雰囲気漂うバーが今回いちばんの楽しみで、すごくドキドキしていた。
エレベーターで向かい、ドアが開くと、照明が落とされ、夜景しか見えない空間。
そして響き渡る、本物のジャズミュージックが感じられた。
シンガーとバンドによる生演奏。
初めてこういうジャズの演奏を聞いたかもしれない。
実際はもっと暗くて、異世界そのもので、異様な空気が流れていた。
友人の「コスモポリタン」
わたしは「ニューヨーク」を頼んだ。
おつまみに柿ピー空豆がついてくるんだけど、これがまた美味しかったんだなあ。
お腹いっぱいだったのに、お酒飲みながら演奏を聞いて、1時間くらいいたのかな。
大人の雰囲気すぎて浮かないか心配してたけど、そんなことは気にできないほど素晴らしい空間だった。
おやすみやさん
「都市の空気は自由にする」ってずっと嘘だと思ってたけど本当かもしれない。
パークハイアットはもう、完成された摩天楼で、私たちは殿上人ならぬ天上人になった気分だった。
部屋に戻るとちらかしたベッドシーツやアメニティは全て揃えられていて、寝る準備は完璧だった。
最後にワインを飲みながら、いろいろ話したんだけどなんの話したか忘れちゃった。
たぶんどうでもいいけど、どうでも良くない話だと思う。
ただただ、街よりも時間がゆっくりと流れ、全てが正しく進んでいくように思われた。
この頃には12時をすぎていて、働くおっさんたちが作る夜景も少しずつ落ち着いていった。
都会もちゃんと眠るんだなと思った。
もうこの景色を見るのは最後かもしれないな、と思いながら夜景を目に焼き付けて、私も眠った。
②に続く(予定)