わたしの内出血

頼むから静かにしてくれ

OH!ブルーベリー

 

久しぶりに文章を書いてみたら結構心地が良かった。

私はわかりやすい人間なので、1度言葉にしたらもっと言葉にしてみたくなってしまった。

今日はとてもいい日だったので記録を残しておこうと思う。

 

2021年9月19日は日曜日だった。

 

1年前の今日、私は飲んだくれて潰れて泣きそうになりながら学芸大学を歩いていたし

2年前の私は、台湾に居た。もう2年も前のことだと思うと不思議な感覚になる。

3年前の私は、彼氏と別れそうになって毎日泣いていた。もう3年も前のことだと思うと、まあ3年だろうと思う。この季節になると別れた彼氏のことを思い出すが、もうどうだっていい。ただ、思い出すだけだ。

 

 

でも共通するのは、私は9月がわりと好きだということだ。

半袖で少し涼しいくらいがいい。

ありがたいことに今年の9月19日もモラトリアムをさせてもらっている。

 

今年の9月19日の日曜日は三連休の中日だった。首都高湾岸線ではタンクローリーが玉突き事故を起こし、案の定八王子付近は混雑していたみたいだ。

 

私に限っては、18日の台風が起こした気圧の変化で上手く眠れないまま19日を迎えた。

 

4時頃に諦めて映画を見始めた。1作目はCUBE(ド深夜にジャンキーな映画を見るのはいいことだ)

2作目はマイ・ブルーベリー・ナイツだった。割にちゃんとしたウォン・カーウァイ作品だった。

 

9時には母の頼みでトイレットペーパーをオイルショックの時並に買いだめした。女がひとり増えるだけでトイレットペーパーの消費量が確実に増えると不満そうに言っていた。

 

そしてその後、車で吉祥寺に向かった。

私はカーステでサニーデイ・サービスの「OH!ブルーベリー」をかけた。

マイ・ブルーベリー・ナイツ」を夜明けに見てから頭から離れなかったのだ。

 

 

国道357号線を行く。私はここで運転を覚えた、とても楽しい。海が見えるし、道はばが広い。

 

オープンカーが脇をスルスルと抜けていく、

素敵だった。

私も音楽を聴きながら彼らと肩を揺らした。

 

 

国道20号線から井の頭通りは正直かなり苦痛だった。

三連休中日、混雑していないわけが無いし、東京の道路は非常に難解だ。

何度もぶつかりかけたが、11時過ぎには吉祥寺のベーカリーに着くことが出来た。

 

大学一年生の頃から知っていたイギリスのベーカリーで、初上陸すると聞いてからずっと行きたかった。

駅から離れた小さな店だが、行列をなし、開店10分後にはキッシュが売り切れていた。

 

名物の「ヴィクトリアケーキ」とチーズスコーンと、セミドライトマトのマフィン、オリーブバケットを買った。

スコーンを車の中で食べてみたが、もちもちしてて、自分の中のスコーンの概念が変わるくらい、可愛いスコーンだった。

それは、可愛いスコーンだった。

 

吉祥寺にまた来るとしても、車では絶対に来ないと思う。

吉祥寺に来る人は、何をしに来ているんだろう?小さな道に所狭しと人が溢れ、車で通るのに気が引けた。

でも、ベビーカーを押す夫婦や、地元の高校生を見ているとなんだか悪い気もしなかった。

 

のどかだった。

台風一過の午後、窓を開けて再び走り出した。

私はその後芦花公園にある世田谷文学館に向かった。

 

昔絵本でよく読んでいて、今は村上春樹の挿絵でよく見る安西水丸の個展に行くためだった。

駐車場が無料だったし、吉祥寺からのアクセスも車だと良かったから今日はドライブプランを組んだのだ。

 

非常に混みあっていて、入場するまで30-40分待ったのだが、待合の椅子で村上春樹のエッセイを読んでいればあっとうまだった。

 

個展はすごく、良かった。

文化人って、生きているだけでエンターテインメントだと思う。

音楽を聞いたり、旅行をしたり、ただ散歩をしたりするだけの生活は高等遊民のように見える。

一般人との大きな差は、それをアウトプットして「面白い」という仕事になるかどうかなのだと思う。

 

安西水丸は赤坂生まれのおぼっちゃまだし、日芸から電通に新卒で入社したエリートだ。

でも描く絵や詩はとても優しいものばかりだ。鼻につかないのが好感なのだと思う。

「面白い」を追求する、かなりストイックな仕事人だ。

 

 

展示を見たあとは、西日が指す中家路を急いだ。

日があるうちに家に帰るのは、かなりいい気分だった。心に余裕がある。

トーキング・ヘッズを聴きながらまた井の頭通りを走ったが、帰りはそんなに混んでいなくて良かった。

 

家に帰ったあとは、スーパーソニックの配信を母とみながら、「ヴィクトリアケーキ」を食べた。

ピンク色の味がした、でも優しかった。イギリスの味だった。上手く伝えられないけれど。

 

夕飯はスペアリブだった。

早めに風呂に入って、弟とビートルズの歌詞の朗読をした。

弟はかなり頭が悪いので、本当に高校受験したのか心配になるレベルで英語ができない。

「From Me To You」と「I want to hold your hand」を聞いた。

一人暮らしをしてから、家族との付き合い方は割に上手くいったと思う。

 

そしてまた1本映画を見た。

「アナザーカントリー」はあまり面白くなかったけれど、今日観た映画は他にもあったし、いいとしよう。

 

ずっと起きていたから、すごく充実した一日だった。

休みを謳歌した、そう言いきれる。

そんな満足感を誰かに伝えたくて、そう、特に1年後の私に伝えたくてこの文章を書いている。

 

なかなかちゃんとやっている。

私は1人で楽しめる方法を知っているから、すごく自分を満足させてあげられる。

これ以上に利己的で自己完結的で、そして悲しみがない幸せなんてどこにもない気がする。

 

たまに、自分がこれ以上幸せになれることがないのでは無いかと不安になることがある。

昨年、新宿のパークハイアットに泊まった時などだ。

 

でも、今日、国道20号線から新宿パークタワー、3本の柱を眺めた時、とても美しいと思った。

下から眺めるのも、なおに良い。

こんな快晴の素敵な9月19日には。