先日、前代未聞の出来事が起こった。
インターン先の上司との会話だ。
彼は新卒2年目、24歳で大きな仕事を請け負っている優秀なプロデューサー。
映像関連の仕事なので、映像から映画の話になった。
面白い映画について。私は年に200本は映画を見ているから、特に洋画旧作には強いのだけれど…忘れられない邦画がある。
彼もその映画を見ていたから、その映画の話になったのだけど、「ぼーっとみていて覚えていない」そうだ。
ありえない。考えられない。
私の脳みそをグーパンチしてきた映画だ、そんなはずがない、そんなにぼーっと見てられる内容じゃないのだ…。
その映画は
2017年公開
私はこの映画は本当に怖いなと思う。
自意識が過剰すぎて、社会に適応できないOLが過去の淡い記憶に現実逃避する話。
一言じゃ表せないけど、表すならこの映画は私そのものだ。
主人公はヨシカって言うんだけど、彼女はSNSで自分のことをつぶやくことに対して、こう述べている。
「世の中の役に1ミリも役に立たない私事を世間に晒す勇気はないわ、勇気っていうか、むしろ恥くらいに思うかもw」
……
私だ……。
私事だが、生まれてこの方鍵無しor身内だけ以外のSNSアカウントを作ったことがない。
所謂中高生がやる「いいねした人全員フォローする」的なタグいも共感性羞恥が酷すぎて出来なかった。
なんならいいねした人全員フォローしねえのノリだった。外野は知らん、口出すな。
中学時代から友達がいないくせに、自意識が過剰すぎてインターネットコミュ障だったのだ。
ヨシカが私を投影していることは、この一言でよくわかる。
こういうやつなのだ。ヨシカも私も。
世間に牙を向き、ぐうぐうとうたた寝をし、儚い夢を見る存在。
こんな映画なので、初めて見た時は辛くて辛くて最後まで見るのが苦しかった。
映画が進むにつれてどんどんひどい(イタイ)方向に進むので、耐えられなかった。
のだが、現在は、たまに自分のことが嫌いになったり、自分を客観視したい時にこの映画を再生している。
この映画を!!
よく覚えていない!!!
だと!!!
映画を覚えていないことが悪いのではない。
人によって価値観や恋愛観が違うことが、びっくりしたのだ。
私以外の誰かが見たら「松岡茉優が泣きながら歌ってる」映画なのだ。
ちがう、ほんとうは、そんな映画じゃない…。
そう伝えたいけど、価値観というメガネが違うなら一生この思いは伝わらないのだろう。
少なくとも男女の恋愛観は違う。
確かに女目線の映画だから、男にはこの気持ちは響きづらいのかもしれない。
しかし、高校生から映画を見続けて、作品の感想は十人十色って言うことは死ぬほど感じてきたけど、ここまで痛感させられることはなかった。
彼には今遠距離恋愛の彼女がいるらしい。
「勝手にふるえてろ」を2人で見たりしないように、厳重に、口を酸っぱくして言っておいた。破局しかねない。罪だ。