家族、という存在は非常に難解である。
家族であっても他人であるし、完璧に理解することなどできない。
家族であることを理由に、必要以上に干渉してしまうしされてしまう。
人間、この世に生を受けた以上、一生孤独である。
家族であっても他人であるし、完璧に理解することなどできない。
家族、という存在は非常に私を困らせてきた。
思い返してみても、父と遊んでもらった記憶はない。
昔、本当に昔に映画を二人で観に行ったことがある。
父が見たい映画だった、子供向けじゃなかったから全然覚えてないし楽しくなかったけれど、父が私を連れ出した唯一の体験だと思う。
昔、クリスマスの夜に家に帰ってこなかったことを覚えている。母は泣きそうになっていた。
思い返してみたが、母に関することで私は何度も泣いたことがある。
昔、母が二十代の男性と不倫関係にあったことがある。その内容をSNSに書き込んで開き直ったことを知っているし、父が知らないふりをしているのも知っている。
私にモラハラまがいの発言を何度もし続け、今でもそれは変わらない。それをアルコールのせいにするのも、もう十数年続いている。
家族、仲の良い家族が羨ましかった。
ずっとずっと、本当に羨ましかった。
「羨ましがっても、無理なものは無理だよ」と友達に言われてもそれでも羨ましかった。
仕方がないと思っていても、どうにかしたくなるのが人間である。
私の家庭は今崩壊したのではなく、もうだいぶ昔に終わっていた。
砂の城が、ゆっくりと波で風化させられるように
私には家族を家族の形のまま保っておくことを、なんとか手助けすることはできなかった。
自分の結婚式は開きたくなかった、
幸せそうな家族が崩壊してしまう悲しさを知っているから。家族を呼ぶことができないから。
早く家から逃げ出したかった、
だから今の生活を選んだ。
だからこそ、こんな今だからこそ、私は弟の存在を大切に思うし、申し訳ないと思う。
大学時代、弟に家族のことを全て押し付けて、両親が起きている時間は実家に帰らないようにしていた。
一人だけどうしても家族が嫌で逃げ出して、私は弟のことを実家に置き去りにしてしまった。
血を分けた兄弟、同じ境遇の人間は、この世界で弟しかいない。
弟はこれから就職をして、父は定年退職をして、おそらく大阪へと帰る。母は実家を出てしまった。
私以上に弟は孤独であり、社会から隔絶された存在である。本当に優しい子であるから、傷つきやすい子であるから、心配である。
私にはどうしようもできないのだけれど、これまで以上に弟と過ごす時間を大切にしたいと思う。この期に及んで、家族がいなくなるからって、本当に最低な姉である。
いろいろ考えていると、結局自分が全て悪いのかも知れない。
出来の良い、可愛い娘ではなかった。
全て家庭のせいにしてきたし、一ミリも好きじゃなかった。好きになろうともしなかった。
家族であっても別の人間であることを、本当に理解していなかったのは私なのかも知れない。
私はというと、ついに帰る場所がなくなってしまった。
人生の代償、
背水の陣、絶体絶命、これぞ人生、人生が本質を見せてきた気がする。